書道教室を運営する師範として、あるいは芸術家として自分の「書」の作品を販売したり、企業などの依頼を受け「書」を書いたりと、書道家の活躍の方法は多種多様です。
書道の団体内で通用する級位や段位、そして最高段位者としての師範には、所属する書道の団体が指導者として認めた資格ですが、師範を取得しなければ、ある一定以上の段位を取得できない団体もあるため、師範の上の段位も存在します。
また、一般的な書道家の評価には、所属する書道の団体や流派の師範という肩書きよりも、日展をはじめとした有名な書道展や展覧会での入選や受賞経歴が重要視されます。
書道の師範資格を取得する意義や、師範資格の上にある段位などについて紹介します。
書道の師範資格なくして、取得できない段位も?
一般的な書道の最高技量を示す最高段位を10段に設定した団体が多いのですが、三段や四段を取得した人は、準師範や師範といった資格を取得したうえで、それ以降の段位認定を受ける規定がある団体も多くあります。
例えば、五段と師範資格を取得した人には、その上の技量水準である6段以降の段位取得が目標となりますが、一般稽古者の中では、最上位の技量保有者という認定は変わりません。
あくまで、所属する団体内での技量認定ですから、他流派と比較されるさまざまな書道展や展覧会への出展で受ける入選や受賞が、書道界での師範の対外的な評価となります。
そのため、書道の師範として、門下生に綺麗な筆文字を書く技法を教える上に、自身には芸術性を表現することが、書道家としての上の評価を目指すことになります。
師範が書道家としての評価を受ける展覧会での受賞
書道では、師範の資格よりも日展をはじめとした読売書法展や毎日書道展などの中央展と呼ばれる展覧会での入選や受賞経歴が、師範よりも上の評価につながります。
入選回数や受賞回数を重ねることで、所属する団体内での評価もあがり、理事や常任理事などの幹事クラスへの昇進など、団体内での立場も昇進します。
特に、日展での入賞は、書道の師範を取得してから最短でも10年以上の年月と所属する団体内での貢献が必要と言われていて、師範の上に目指すべき目標となりそうです。
書道家として真の評価を受けるには、日展での入賞経歴が必要と言えますが、その前の段階として師範資格を取得することが、初心者から稽古を続けるヤル気にもつながり、書の道にはその上があると認識できる意義があります。
書道の師範の上に目指すべきは、それぞれの判断で!
書道の師範資格の上には、芸術家として日展などの中央展での入賞や受賞を目指した「書」の作品を書くなど、自分の作品を公表する方法も一つです。
しかしながら、書道の師範資格を取得して、自分の書道教室を開業して、指導者として後進の育成に力を注ぐことも、師範の上の仕事となります。
つまり、書道の師範資格を取得したからといって、こうしなければならないという決まりはなく、その人それぞれに、師範の上の世界があります。