書道師範の資格の取り方に近道を選んではいけない3つの理由

書道師範の資格だけでなく何の資格でも出来るだけ早くて簡単に取得したいと思うのが人情というものでしょう。

実は書道師範の取り方にも近道があるにはあります。

ネットでちょっとググれば『グングン上達』『最短2年で師範取得』ってこんなに簡単な取り方もあるんです。

書道の師範の認定は自動車免許や国家資格と違って明確な基準はありません。

各団体の裁量で認定しているだけなのです。

ですからその団体が『はい、あなた師範』と言えば技量がなくても師範になれるのです。

しかし、貴方が本当の書道の師範を取得したいと思うのならそんな取り方の近道を選んではいけない理由をお話しします。

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臨書で古典を学ぶには時間が必要

書道では古典を真似て書く臨書というお稽古がありますが書道を学ぶ上ではとても重要で技量を高めることに繋がります。

書には中国から入って来た漢字として篆、隷、行、草、楷の書体があり、また日本独自の文化として仮名書があります。

私の漢字辞書の五体字類には約4500字あり、其々の書体を入れると2万字以上あると思われます。

師範として人に教えるには漢字の五体と仮名書がある程度は書けなけれならないでしょう。

書は絵と違い飽くまでも文字ですから意味や元々持っている形もあります。

書を書く際にはそういったことも踏まえなければなりません。

歌舞伎役者の中村勘三郎さんは生前に『古典を学び型を身につけた後に自分の型を作り出すのが型破り。自分勝手に演るのは型なし』とテレビで
仰っていましたが書道も全く同じなのです。

できるだけ沢山の古典を学ぶ事が本当に大切なのです。

書道史の知識が無いと教えられない

師範を取得すると言う事は人に教える資格を得ると言う事です。

私もカルチャー教室や自宅で生徒さんに教えていますが草書の崩し方を説明する時や仮名書の変体仮名を説明する時など、どうしても書の歴史や古典に触れないと説明できない事が多々あります。

子供たちにひらがなを教える時でさえひらがなは中国から渡ってきた漢字からできていることや全てのひらがな、カタカナには元となる漢字があることを説明します。

理屈をきちんと伝えた方が生徒さんも納得がゆくようです。

師範は書の技量だけでなく大まかでも書道史を学ぶ事が自分のためでもあります。

有名社中に所属していないと書法展の入選はないと思え

書道界には実に多くの社中が存在します。

冒頭に記したような簡単な師範の取り方を勧めるのも社中の一つになるのでしょうが多分書道界では認められていないでしょう。

書道界では師範資格は言葉は悪いですがまだまだ屁のようなものです。

カルチャー教室で講師をするにも師範資格ではなく書法展の入選を問われます。

日展、読売展、毎日展などにどれだけ入選しているかが重要になります。

しかしながら書道界の大御所と言われているような方が競書にお手本を書いている有名社中に所属していないと書法展の入選は出来ないのが現状です。

そしてそのような社中はやはり技量も高く、短期間での師範取得は難しいでしょう。

以上のような事からも書道師範の取り方に近道を選ぶべきではないのです。

書道講師の末席にいる私もまだまだ修行と学びを続けなければならないと日々強く感じます。

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