書道には、筆を使って綺麗に文字を書く技法と筆文字を利用した芸術作品に作り上げる技法の二つの側面があります。
そのため、書道の団体や流派にも、筆文字の書き方を教育する団体と芸術作品を作ることに特化した団体の二種類に分けられ、いずれも民間団体です。
書道の師範は、筆文字の書き方を教育する団体の一つに所属し、そこでの修練を積んだことで習得した技量が、指導者相当であると認定された資格です。
書道を教える立場になる師範という資格と、学校の書道の先生には、同じような響きがありますが、二つの資格には大きな違いがあります。
書道の師範資格と学校の書道の先生の違いは?
書道の師範資格は、あくまでその人が稽古を積んだ団体が認定した資格で、学校の書道の先生は、文部科学省が大学等で規定されたカキリュラムを修了し、所定の要件を満たしたものに発行される教員免許を所有しています。
書道の教員免許は、学校での書道教育における授業を行う権利を証明する免許です。
それゆえ、書道の師範だけでは、書道教室で教えることができても、学校での書道の授業はできませんが、教員免許を保有した学校の書道の先生は、学校でも書道教室でも教えることが可能です。
小学校には小学校教員免許、中学校には中学国語の教員免許がそれぞれ必要で、書道に特化した免許ではなく、書道に特化した免許は、高校の書道の授業のみと考えられます。
書道の師範が学校でも教えられる場合には?
書道の師範資格だけを保有する人が、学校で書道を教えることができないことは、前述のように教員免許を保有していないためです。
しかしながら、市や県などが特例として雇っている書道の師範であれば、学校で教えることが可能です。
逆に、教員免許を保有した人であれば、小学校や中学校で、書写や習字の授業を担当することが可能であると同時に、個人として開業した書道教室で指導にあたることも可能です。
これらの違いは、書道の師範資格と学校の教員免許が、民間資格と国家資格という違いがあるためです。
書道の師範資格と学校の書道の先生の違い
書道の師範資格と学校の書道の先生は、その資格を発行する団体の違いで、書道の指導にあたる場所にも違いが生じます。
書道の師範資格は、所属する民間の書道団体が認定した資格にすぎず、書道教室での指導は認められますが、学校の先生として書道を教えることはできません。
一方、学校の書道の先生は、文部科学省が認めたカリキュラムを修了して発行された教員免許を保有しているため、学校の書道の授業はもちろん、書道教室などでの指導も可能です。