私は子供が小学校への入学を機に書道教室に通い始めました。
小学校でのお習字の授業でしかお習字をした事がない、大人になってから書道を初めて学ぶ本当に全くの初心者でした。
筆文字を上手く書けるようになりたいと思っていただけで師範の資格を取るようになるなんて、書道を教えるようになるなんで思ってもいませんでした。
書道教室の先生には筆のおろし方、墨の付け方や洗い方から教えてもらいました。
楷書の古典のお稽古
最初のお稽古は有名な楷書の古典、猪遂良(ちょすいりょう)の倪寛賛(げいかんさん)から始まりました。
若い頃は事務職をしていましたのでボールペン字を通信で勉強もしたので綺麗を言われる位に書くことが出来ていました。
筆は自分の思う通りに全く動いてくれず、自分でも笑ってしまうような小学生以下の文字でした。
最初が下手くそ過ぎたのか、目に見えて上達するので書道のお稽古は楽しかったです。
倪寛賛の後も中国では王羲之や王鐸、欧陽詢の古典を日本では空海、橘逸勢などなど書道の王道と呼ばれる古典をお稽古しました。
それとは別に競書の課題も毎月提出していました。
昇級する時は競書で自分の名前の上に◯が付きますが、初めまして◯が付いた時はとても嬉しかったです。
大人になると人に褒めてもらうような事が少なくなると言うよりは全く無くなります。
なので昇級すると言うのは人から褒められたようで何だか子供の頃に戻ったような懐かしく甘酸っぱい悦びがありました。
漢字が少し書けるようになった頃から漢字と一緒に仮名書のお手本ももらうようになりました。
仮名書はいろはにほへと
仮名書のお稽古は文字通り『いろは…』の書き方から学びました。
いろは47文字と変体仮名もお稽古で書き、覚えていく中で恥ずかしながら初めて『いろは詩』を全てきちんと言えるようになりました。
いろは47文字の後はやはり漢字と同じように古典である平安時代の古筆を次々にお稽古していきました。
お稽古していく中で先生に帖の貼り方も教えて頂き、曼殊院や寸松庵色紙、枡色紙、継色紙などを原寸臨書し帖に仕立てました。
この頃には漢字も仮名書も級位が随分と上がり、いよいよ師範の認定試験を受ける事になりました。
全くの初心者で書道を始めてから10年目位でした。
初級師範一発合格
小中学生までの指導が許される初級師範の認定試験は半紙の漢字2体、仮名書、条幅の漢字と仮名書提出があります。
先生にお手本を書いてもらい1か月かけてみっちりお稽古をした結果、一発で合格することが出来、初級師範の認定書を頂きました。
それから約2年後には高校生や大人も教えることが出来る専門部師範の認定試験にも一発合格して師範になる事が出来ました。
まとめ
先生は書道の技術だけでなく、博物館や美術館などの展示や書道の公募展に一緒に行って解説をしてくれたりと事ある毎に書にまつわる知識を付けてくれました。
師範になり、子供だけでなく大人への指導でもきちんと説明が出来るのも先生の指導が豊かだったからだと思います。
書道は子供の頃から習っていないと師範は無理なのではと勘違いされている人も居ますが大人なってからでも大丈夫です。
始めたい、始めようと思った時が始め時なのです。